- 2025年1〜8月の休廃業・解散は4万7,078件(+9.3%)。年7万件台に達する可能性。
- 黒字でも廃業が増え、経営者年齢は50〜60代の撤退も目立つ。
- 建設・サービス・製造・物流など幅広く増加。背景を理解するとM&Aやリスク管理にも関わるニュース。
出典:帝国データバンク(2025/09/22公表)
全国の休廃業・解散、4.7万件—年7万件台ペース
帝国データバンクによると、2025年1〜8月に確認された休廃業・解散は4万7,078件。前年同期比で+9.3%、3年連続の増加となりました。
このペースが続けば、年内には7万件台に達する見込みです。背景には、物価・エネルギー高、人手不足、後継者難などがあり、企業環境の厳しさが数字に表れています。
黒字でも廃業が増える背景
今回の調査では、黒字での廃業割合は49.6%と初めて5割を下回りました。一方で、資産超過型は64.1%と過去最高。
つまり「財務的には問題がないのに、事業を畳む」というケースが増えているのです。

黒字なのに辞めるなんて、もったいなくないですか?

後継者不足や人手不足で将来の見通しが立たない中、余力があるうちに“円満に畳む”という考えが広がっているんだ。資産を守りつつ次のステップに移れるからね。
経営者年齢は若返り傾向
平均年齢は71.65歳で、ピーク年齢は74歳。しかし、50代・60代で廃業を選ぶ割合が上昇しました。
従来は「体力が尽きてから廃業」でしたが、今は現役世代でも早めに撤退を決断する流れが見られます。
建設業の矛盾—需要はあるのに廃業が増える理由
建設業は5,938件(+6.5%)と、増加傾向が鮮明です。都市部では再開発や大型工事が活発ですが、現場の中小建設業者は人手や資材の確保が難しく、採算が取れない仕事が増えているのです。

でも、都市部は建設需要が旺盛ですよね?それでも廃業しちゃうんですか?

大規模再開発は大手ゼネコンが中心。
中小は人手不足や資材高騰で採算が合わない。
需要があっても、現場の体力が持たないケースが多いんだ。
サービス・製造・物流にも広がる退出の波
- サービス業:5,884件(+20.3%)
- 製造業:2,289件(+20.2%)
- 運輸・通信:494件(+10.5%)
物流業界では「2024年問題」後の人件費上昇が影響し、小規模事業者の廃業が目立ちます。
急増する生命保険代理店—ビジネスモデルの転換点
特筆すべきは生命保険代理店の休廃業(28件、+154.5%)です。オンライン販売の浸透や規制強化で、小規模な対面型代理店には逆風が強まっています。
ニュースから見える学び—投資や事業にどう関わる?
ここまでの動きを整理すると、投資や事業に関わるポイントが浮かび上がります。
- M&A/事業承継の機会:黒字・資産超過でも廃業する企業が増え、優良資産が市場に出やすくなる。
- サプライチェーンリスクの再認識:建設・物流・製造など、退出が増える業種では取引先の見直しが必須。

こういうニュースって、投資ともつながるんですか?

直接株価を動かすニュースではないけれど、M&Aや連鎖リスクの視点は投資に役立つ。
ニュースを理解すると、経済の仕組みが見えてくるんだよ。
まとめ
- 2025年1〜8月の休廃業・解散は4.7万件超(+9.3%)。年7万件台ペース。
- 黒字でも廃業が増加し、経営者年齢は若返り傾向。
- 建設・サービス・製造・物流で退出が目立ち、生命保険代理店は急増。
- ニュースを理解すると、M&Aのチャンスやサプライチェーンのリスク管理といった投資・事業のヒントが得られる。