★要約
政府の月例経済報告(2025年10月)は、景気の基調判断を「緩やかな回復が続いている」で据え置き。物価上昇は3%前後で粘着する一方、個人消費・生産は横ばい。雇用は改善基調が続く中、名目賃金と物価の綱引きが焦点となっています。
1. 景気の現状と判断のポイント
政府は「景気は緩やかに回復している」との判断を維持しました。9月と比べて大きな文言変更はありませんが、輸出や生産に“横ばい”の表現が入り、米国の通商政策の影響に対する懸念が強まりました。

学生
「緩やかな回復」ってずっと聞いてますけど、何が良くて何が課題なんですか?

ジャーナリスト
生産・輸出は横ばいですが、雇用と企業収益は底堅い。
回復が続く一方で、物価と実質所得のバランスが課題です。
2. 個人消費と物価の動向
個人消費は「持ち直しの動き」で据え置き。旅行・外食などのサービス支出は底堅い一方、耐久財や日用品は節約志向が続きます。物価はコアCPIで3%前後。食料・サービス価格の粘着が続く中、実質賃金の伸び悩みが家計の購買力を抑えています。
3. 企業・雇用・市場トレンド
企業収益は高水準を維持しており、設備投資も底堅い傾向です。自動車・電機など一部製造業では、米国の通商政策による影響を受けやすく、慎重な見方も出ています。雇用情勢は改善が続き、有効求人倍率は高水準。失業率は2%台と安定的です。
4. 投資家・家計が注目すべきポイント
投資家にとっては「横ばい景気」の中での選別がカギ。短期的には為替・金利・通商政策などイベントドリブンの動きに注意が必要です。一方、物価高下でも値決め力を持つディフェンシブ企業や内需株への注目が続くと見られます。
- 短期投資:自動車・機械などイベント感応度の高い銘柄に注意
- 中長期投資:ディフェンシブ・価格転嫁力のある企業
- 家計:節約志向とサービス支出のバランスを意識
5. 用語解説
| 用語 | 意味・ポイント |
|---|---|
| 実質雇用者報酬 | 物価変動を考慮した家計の購買力。賃金上昇があっても物価が高ければ実質は伸びない。 |
| コアCPI | 生鮮食品を除いた物価の動き。日本の物価動向の基本指標。 |
| 権利付き最終売買日 | 配当や分配を受ける権利が得られる最終取引日。今回の月例では株式市場の注目時期とも重なります。 |
6. まとめ
- 景気は「緩やかな回復」を維持。生産・輸出の停滞に注意。
- 物価は高止まり、実質所得の回復はなお道半ば。
- 投資では「価格決定力のある企業」が引き続き注目。
- 家計では節約・比較行動が定着。インフレ対応型の消費行動が続く。
参考: 内閣府「2025年10月 月例経済報告(PDF)」


