- イラン空爆を起点に「原油高 × リスクオフ」が進むと、日本株は指数が下押しされやすい一方、資源・商社・防衛などは相対的に強くなりやすい
- 最大の焦点はホルムズ海峡リスク(通航・保険・供給不安)。ここが詰まるほど、輸入国の日本には逆風が強まる
- 投資判断は「ニュース」だけでなく、原油(Brent/Dubai)・USD/JPY・海運/保険・紛争の拡大度の4点で点検するとブレにくい
いま何が起きている?(ニュースの整理)

イランの空爆って…日本株にも影響ありますか?

結論は「指数は下がりやすいが、強い業種も出る」。
焦点は原油とホルムズ海峡だよ。
報道では、米国・イスラエルによる対イラン攻撃とされる動きが起点となり、ホルムズ海峡を巡る通航リスクが強く意識されています。実際に「海峡の閉鎖」や「通航船舶への強硬姿勢」に関する報道が出ており、市場は供給不安(=原油高)を織り込みやすい状態です。
さらに、海上輸送における戦争リスク保険の停止・引き上げは、エネルギーだけでなく物流コスト全体を押し上げる懸念があります(運べる量・ルートが細るほどコスト増)。
日本株の基本影響は「原油高 × リスクオフ」

「リスクオフ」って、結局なにが起きるんです?

短期は“安全資産へ逃げる動き”。
株は売られやすく、為替が動き、原油は供給不安で上がりやすい
…がセットになりやすいね。
日本はエネルギーの輸入依存度が高く、原油高は企業のコスト増・家計の負担増を通じて景気の重しになりやすいです。
その結果、全体指数(TOPIX・日経平均)は短期的に下押しされやすい一方で、原油高で恩恵を受ける業種は相対的に買われやすく、「指数は弱いのに一部は強い」相場になりがちです。
- ① 指数(全体)は下がりやすい:不確実性が上がるほど、リスク資産が売られやすい
- ② 業種間の差が広がる:原油高・物流コスト高の“勝ち負け”が明確になる
影響が出やすい業種マップ(日本株)
ここからが実務的に大事です。相場が荒れるときは「どこが得して、どこが損するか」をまず分解します。
-1. 相対的に強くなりやすい(プラス寄与)セクター
(A) 資源・エネルギー(上流)
- 代表例:INPEX など
- 原油高は上流企業の収益に追い風になりやすい(販売価格そのものが上がるイメージ)
(B) 商社(資源権益・トレーディング)
- 代表例:三菱商事、三井物産 など
- 資源価格上昇局面で再評価されやすい(資源比率・為替感応度で差が出る)
(C) 防衛・重工
- 代表例:三菱重工、IHI など
- 地政学リスク上昇局面で物色されやすい(海外の“防衛株高”の連想が波及しやすい)
※注意:防衛関連は「思惑で急騰→材料出尽くしで急落」も起きやすいので、短期追随はリスク管理(逆指値・枚数調整)が前提です。
-2. 逆風になりやすい(マイナス寄与)セクター
(D) 航空・陸運・海運(燃料・保険・遅延コスト)
- 航空:燃料コストの影響が直撃しやすい
- 海運:運賃上昇はプラス要因にもなるが、今回は保険停止・航路制約が絡むと「運べない」リスクが勝ちやすい
(E) 化学・素材(エネルギー多消費)
- ナフサ・電力・ガスの上昇がコストに直結しやすい
- 価格転嫁が弱い企業ほど利益が圧迫されやすい
(F) 自動車・電機など輸出主力(円高が重しになり得る)
- リスクオフ局面は円が買われやすく、輸出採算の重しになりやすい
- ただし企業の為替前提・ヘッジもあるため、USD/JPYがどこまで動くかを合わせて確認
“ホルムズ海峡”が本丸(ここが崩れると日本株の重さが変わる)

ホルムズ海峡って、そんなに重要なんですか?

超重要。世界の石油・ガスの大動脈。
ここが詰まるほど“原油高が一段上”になりやすい。
ホルムズ海峡は中東産油国の輸送の要所で、通航が不安定化すると原油市場は供給不安(=価格上昇)を織り込みやすくなります。
また、保険料の上昇・戦争リスクカバーの縮小は、タンカーだけでなく周辺の物流コスト全般を押し上げ、インフレ圧力(=企業コスト増)を強める可能性があります。
日本株への影響は、「原油高の水準」と「期間(長期化するか)」で重さが決まります。
相場の見立て(短期〜中期の3シナリオ)
シナリオA:短期で沈静化(限定的衝突で収束)
- 原油:上昇しても落ち着きやすい
- 日本株:下げても戻りが早い(“有事の売り”が剥落)
- 戦略:指数の投げ売り局面は、優良株の拾い場になり得る
シナリオB:にらみ合い長期化(断続的な報復+物流/保険コスト高が継続)
- 原油:高止まりしやすい
- 日本株:指数は上値が重く、資源・商社・防衛が相対的に優位になりやすい
- 戦略:価格転嫁力のある企業へ/輸入コスト直撃業種は慎重に
シナリオC:海峡・インフラに波及(供給制約が本格化)
- 原油:急騰リスク(市場が最も嫌う)
- 日本株:景気後退懸念で指数は深押しも
- 戦略:当てにいかず、現金比率・分散・ヘッジ優先(守りを厚く)
チェックすべき“4点セット”
- 原油(Brent / Dubai):上がり続けるか、落ち着くか
- USD/JPY:円高が進むと輸出系の重し(逆に円安なら下押しが和らぐ)
- 海運・保険の状況:保険停止/運賃高/迂回が増えるとコストが長引く
- 紛争の“拡大”有無:対象が広がるほど長期化しやすい
まとめ
- 基本は「原油高=輸入コスト増」+「リスクオフ」で、日本株指数は下押しされやすい
- 一方で資源・商社・防衛は相対的に強くなりやすく、業種間格差が広がりやすい
- 判断はニュースの強弱ではなく、原油・為替・物流/保険・拡大度をセットで点検するのが再現性が高い
※免責:本記事は情報提供を目的とした一般論であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
エビデンス(参考リンク)
- Reuters:Iran vows to attack any ship trying to pass through Strait of Hormuz(ホルムズ海峡・通航リスク)
https://www.reuters.com/world/middle-east/iran-vows-attack-any-ship-trying-pass-through-strait-of-hormuz-2026-03-02/ - Reuters Graphics:The global chokepoint in the Strait of Hormuz(ホルムズ海峡が「チョークポイント」である根拠)
https://www.reuters.com/graphics/IRAN-CRISIS/MAPS/znpnmelervl/2026-03-02/the-global-chokepoint-in-the-strait-of-hormuz/ - Reuters:Iran conflict disrupts oil supply to Asian countries dependent on Middle East(アジア依存・供給不安の整理)
https://www.reuters.com/world/asia-pacific/iran-conflict-disrupts-oil-supply-asian-countries-dependent-middle-east-2026-03-02/ - U.S. EIA:Amid regional conflict, the Strait of Hormuz remains critical(ホルムズ海峡の重要性・アジア向け比率)
https://www.eia.gov/todayinenergy/detail.php?id=65504 - The Guardian:Maritime insurers cancel war risk cover in Gulf as Iran conflict disrupts shipping(保険・物流コストの連鎖)
https://www.theguardian.com/business/2026/mar/02/maritime-insurers-war-risk-cover-gulf-iran-shipping-strait-of-hormuz

