- 東証の上場維持基準は、経過措置の終了により「計画を出していればよい段階」から「実際に基準を満たせたかが問われる段階」へ進みました。
- JPXの2026年1月時点の資料では、未適合会社は161社あり、うち48社が2026年3月に改善期間終了予定とされています。
- 未対応会社名を追うよりも、どの基準が未達で、どんな方法で改善しているかを見ることが、投資家には重要になっています。
2026年1月時点の現状を整理
東証の市場再編は、名前が変わっただけの話ではありません。
本当の意味で重みが出てくるのは、上場維持基準の経過措置が終わり、未達企業に改善期間と上場廃止ルールが現実に適用される局面からです。
JPXは、2025年3月1日以後に到来する基準日から本来の上場維持基準を適用しており、未達の場合は原則1年間の改善期間に入り、それでも適合できなければ監理銘柄・整理銘柄を経て上場廃止になると案内しています。
2026年1月時点では、このルールがいよいよ“制度”から“実務”に変わる段階に入りました。
JPXの2026年1月14日資料によると、2025年11月末時点で上場維持基準に未適合の会社は161社あり、内訳はプライム46社、スタンダード82社、グロース33社です。
さらに、このうち48社は2026年3月に改善期間の終了を迎える予定とされています。
ポイント
2026年は、東証改革が「計画提出の時代」から「結果を問う時代」へ移る節目といえます。
そもそも「改善期間終了」とは何か
今回の話の核心は、基準未達のままでも当面は上場を続けられる“猶予”が終わり、結果を問われる段階に入ることです。
JPXの現行ルールでは、2025年3月以後の基準日から本来基準で判定され、未達なら通常1年の改善期間に入ります。
改善期間内に適合しなければ、原則6か月の監理・整理銘柄指定を経て上場廃止となります。
つまり、2026年は「計画を出している」だけでは足りず、実際に基準を満たせたかどうかが問われる年だといえます。
なお、例外として、2023年3月31日時点で2026年3月以後の基準日を超える期限の計画を開示していた会社は、「超過計画開示会社」として扱われます。
この場合は、直ちに上場廃止に向かうのではなく、計画期限での適合確認まで監理銘柄指定を継続する扱いです。
ポイント
「改善期間終了」は、未達のまま残れる猶予が終わり、上場維持の可否が現実に問われることを意味します。
東証がここまで厳格化した理由
背景には、市場区分の信頼性を高めたいという東証の狙いがあります。
JPXのフォローアップ資料では、上場維持基準の経過措置について2023年1月に終了時期を明確化し、あわせてプライム市場上場会社にスタンダード市場再選択の機会を提供したと整理しています。
再選択期間中には177社がスタンダード市場を再選択し、市場区分移行時を含めると計515社がスタンダードへ移ったとされています。
同じ資料では、移行当初の経過措置適用会社492社のうち、約6割にあたる283社が経過措置適用から外れたとも示されています。
外れた理由は基準適合だけに限りませんが、少なくとも東証改革が“名ばかり”ではなく、企業側に行動変化を促してきたことは読み取れます。
ポイント
東証は「市場再編しただけ」で終わらせず、市場の看板価値を上げるために基準運用を厳格化しています。
2026年1月時点で見えている現実
2026年1月時点の数字を見ると、制度はかなり進んだものの、まだ道半ばです。
未適合会社161社という数字は、改善が進んでいないわけではない一方で、なお一定数の企業が上場維持基準に届いていないことを示しています。
特に注目すべきなのは、48社が2026年3月に改善期間終了を迎えるという点です。
ここから先は「未達会社がまだ多い」という一般論ではなく、実際に市場変更・監理指定・上場廃止の判断が近づく会社が出てくる段階だということです。
投資家にとって大事なのは、ここで未達会社の名前を追いかけて不安をあおることではなく、東証が“上場しているだけで安心”という時代を終わらせようとしている点を理解することです。
今後は、上場企業を見るときに、業績や配当だけでなく、流通株式時価総額、流通株式比率、売買代金などの維持基準を満たしているかという視点も、以前より重要になります。
ポイント
2026年1月時点では、制度の本格運用が始まり、未達企業への選別がより現実的なテーマになっています。
参考になる「対応済み企業」の例
一方で、すべてがネガティブな話ではありません。
2026年1月には、上場維持基準への適合を公表した企業も実際に出ています。
たとえば川上塗料は2026年1月15日公表資料で、2025年11月30日時点でスタンダード市場の全ての上場維持基準に適合したと開示しています。
もともと流通株式時価総額が未達でしたが、計画に基づく取り組みの結果、全項目で適合に至ったとしています。
また、かんなん丸も2026年1月29日公表資料で、2025年12月31日時点でスタンダード市場の上場維持基準にすべて適合したと発表しています。
2025年6月30日時点では流通株式時価総額が未達でしたが、その後の施策で基準を達成したと説明しています。
こうした事例から分かるのは、改善期間入りしたからといって即座に終わりではなく、株主数の増加、流通株式時価総額の改善、流通株式比率の是正などを通じて、基準到達に持ち込める会社もあるということです。
ポイント
未達企業名を並べるより、実際に適合した企業の取り組みを見るほうが実務的な参考になります。
投資家は何を見ればいいのか
今回の制度運用本格化で、日本株を見る目は少し変わります。
これからは、単に「東証プライムだから安心」「スタンダードだから小型株」といった見方だけでは不十分です。
その会社が市場に残る前提条件を本当に満たしているか、未達ならどんな改善計画を持ち、どこまで進捗しているかを確認する必要があります。
特に見るべきなのは、次の3点です。
- 1つ目:基準未達の項目が何か。流通株式時価総額なのか、売買代金なのか、比率なのかで難しさは変わる。
- 2つ目:改善の方法が現実的か。自社株買い、株式分割、政策保有株の売却、IR強化、事業改革など、手段によって再現性が異なる。
- 3つ目:期限が近いかどうか。改善期間終了が近い会社は、株価が制度要因で動く可能性が高まる。
これらは、単なる制度ニュースではなく、個別株を見るときのチェックポイントとして意識しておきたい部分です。
ポイント
投資家は、未達かどうかだけでなく、何が未達で、どう改善しているかを見る必要があります。
まとめ
2026年1月時点の上場維持基準のニュースを一言でいえば、
「東証改革が、ついに“計画提出の時代”から“結果を問う時代”へ入った」
ということです。
未適合会社はなお161社あり、48社が2026年3月に改善期間終了を迎えます。
これは、日本株市場の選別が今後さらに進むことを意味します。
一方で、川上塗料やかんなん丸のように、実際に基準へ適合した企業も出ています。
つまり、改善余地のある会社がすべて悲観一色というわけではありません。
投資家としては、未達企業名を追いかけて不安になるより、
「どの会社が、どの基準で、どんな方法で改善を進めているのか」
を見るほうが建設的です。
これからの東証市場では、上場していること自体より、上場を維持するだけの市場適格性を備えているかが、より重く見られるようになるはずです。
ポイント
今後の日本株では、「どの市場にいるか」だけでなく、「その市場に残れる条件を満たしているか」が重要になります。
(参考リンク)
- JPX「2026年の方針・取組みについて」(2026年1月14日)
https://www.jpx.co.jp/equities/follow-up/nlsgeu000006gevo-att/t13vrt000000gm6d.pdf - JPX「上場維持基準に関する経過措置の終了」
https://www.jpx.co.jp/equities/follow-up/04.html - JPX「市場区分見直し後の状況と今後のフォローアップについて」(2024年5月)
https://www.jpx.co.jp/equities/follow-up/nlsgeu000006gevo-att/mklp770000007bcn.pdf - 川上塗料「上場維持基準への適合に関するお知らせ」(2026年1月15日)
https://www.kawakami-paint.co.jp/20260115ir-news.pdf - かんなん丸「上場維持基準への適合に関するお知らせ」(2026年1月29日)
https://kannanmaru.co.jp/wp-content/uploads/2026/01/20260129notice.pdf
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

